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エジプト大使館/ 早稲田大学ビジネススクール/ ZENMONDO共催 バーチャル・ビジネス視察ツアー@エジプト イベントレポート

<バーチャルツアー1日目>

 
早稲田ビジネススクールでは、例年スタディツアーを実施しておられ、世界各国の日系を含む企業訪問を通じてグローバルな感覚を養うと共に、新たなビジネスの気づきなどを提供しておられます。今年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、残念ながら実際に現地に赴くことが叶わず、私共ZENMONDOもお手伝いをさせていただき、初めての試みとなるバーチャルツアー@エジプトを開催させていただきました。

3年に亘り駐在していたエジプトは、代表の伊藤(荒井)三奈の第2の故郷でもあります。本プロジェクトは、ZENMONDOアドバイザーでもあるアイマン・カーメル駐日エジプト大使をはじめとする在京エジプト大使館の皆様、および在エジプト日本商工会議所の皆様の多大なるご尽力により、11月22日~23日の2日間に亘って実現することとなりました。本プロジェクトにご賛同くださり、快くご参加いただいた皆様にこの場をお借りして、まずは御礼を申し上げます。

 

 

早稲田大学ビジネススクールと開催した「ZENMONDOバーチャル・ビジネス視察ツアー」初日、オープニングは、早稲田大学ビジネススクール・内田教授のご挨拶にはじまり、内田先生の自己紹介・今回のバーチャルツアー実現に至った経緯などが紹介されました。続いて、ZENMONDOアドバイザーでもある在京エジプトカーメル大使から最近のエジプト政府の政策的・経済的取組や日本とエジプトの関係などが紹介されると共に、本プロジェクトへの期待が述べられました。また、H.E. Mr. Ahmed Youssefエジプト観光庁長官からは、時代と共に変遷するエジプトの魅力について紹介され、スフインクスやピラミッドなどファラオ時代の遺跡で有名なエジプトですが、ダイビングスポットとしても美しい紅海のリゾートや砂漠でのキャンプ、多様性に富む食の魅力なども語られました。
続いて、建設事業の他、ツタンカーメン王の至宝を含む数々の古代エジプトの重要遺物の調査分析・保存修復、関連人材の育成、組織体制や運営計画支援など、日本が多面的な協力を行っている新・大エジプト博物館のプロジェクト・コーディネーターのMs. Heba Khairy Metwaly方から、新博物館のオープニングに先駆けて、各プロジェクトの詳細や見どころなどが貴重な写真と共に紹介されました。新・大エジプト博物館は単なる博物館ではなく、会議場・レストラン・3Dシアター・大人および子ども向け学習センターなどを併設した総合エンターテイメント施設となっているのが大きな特徴とのことです。オープニングからエジプトの魅力が多く紹介され、参加者はすぐにでもエジプトに旅立ちたい気持ちになったのは間違いありません。オープニングの最後に、日本エジプト経済委員会・委員を務めるZENMONDO代表の伊藤から、今回のツアー実現にご尽力いただいた方々への謝辞と共にZENMONDOの活動などが紹介され、2日間のツアーが開幕しました。

続いて、エジプトのCERAMICA CLEOPATRA GROUPのMr. Mohamed Abou El Enein会長にお話を伺いました。CERAMICA CLEOPATRA GROUPは中東でも最大規模の会社の一つであり、セラミック分野では日本市場にも25年に亘って参入しておられます。セラミック以外にも産業・サニタリー・スマートカー・メディアの分野でも活動をされています。立ち上げ当初の苦労話や世界展開・多分野展開などと共に、海外に派遣して研修をさせるなど、従業員教育に力を入れ育ててこられたことが語られました。また、高い質を求める傾向にある日本人マーケットへ参入する難しさやその際に大使をはじめとした日本人協力者の人力があったことなど感謝と共に思い出話が披露されました。その後、CLEOPATRA GROUPの活動や日本での参入マーケットなどを紹介したプロモーションビデオや現地エジプト人ガイドを派遣したCLEOPATRA GROUPのセラミック工場視察が行われました。セラミックの原料をすりつぶし、大量の水と混ぜ合わせる機械などが約1平方キロにも及ぶ工場の中の様子が紹介され、途中で映像が途切れるシーンなどもありましたが、臨場感漂うバーチャル視察となりました。

続いて、サラヤ株式会社の更家代表取締役社長にビデオメッセージをいただきました。赤痢が多かった当時の日本で手洗いを推奨するサニタリー分野から始まり、現在ではエジプトに合弁会社を持たれ、エジプトの農業の活性化や砂漠緑化などにも献しておられます。エジプトを拠点とし、他のアラブ圏をはじめグローバルな取組にも挑戦しておられる他、新たな試みとしてホホバオイルを活用した各種製品の開発などにも力を入れておられます。ビジネスを拠点にSDGsに貢献したいという思いが伝わってきました。続いて、Global Operations Divisionの大宮様よりサラヤの海外展開についてご説明いただきました。1995年のアメリカへの工場建設を皮切りに、中国や台湾などアジア圏に工場を建設し、最近ではフランスなどにも拠点を持っておられます。2019年にドバイに拠点を持ち、未開拓だった中東圏へも展開を拡大されています。そして、Saraya Middle East for Industrial Investment J.S.C.のCEOであるMr.Omar El Mougyより、工場設置にエジプトが選ばれた理由や、ホホバオイルプロジェクトをはじめとしたお肌に優しい化粧品の開発やハンドソープや消毒液製造、糖尿病改善するための甘味料開発など様々な取組などが紹介されました。ホホバの栽培により、1991年には何もない沙漠だった場所が2014年には緑に覆われたホホバの森になっている写真はとても印象的でした。QAセッションでは、エジプト工場の役割や日系企業と現地企業との文化的な違い、なぜSarayaで働こうと決めたのか、アフリカ各地の市場の好みの違い、といった質問が相次ぎました。

続いて、エジプトのスタートアップ2社とのセッションを行いました。農作機械などの製作を手掛けている(既存の他社製品の販売を手掛けている)Modern MachineryのCEOであるMr. Khaled Sabry、およびコンサルティングやアクセラレーターをしている Rise Up CompanyのCEO、Mr. Abdelhamid Shararaによるセッションが行われました。Modern Machineryで取り扱っている農作機械の説明の後、チャドを拠点としたアフリカへの拡大計画や日本企業の協力の重要性が語られました。続いてRise Up Companyからは、スタートアップとリソースのマッチング(特にテクノロジー分野での)などを手掛け、エジプト・中東・アフリカの橋渡しを行っていることなどが説明されました。スタートアップやVCの成長など若者の活躍が著しいエジプトの現状や、過去7年間に亘り開催されているRise Upピッチイベントのことなどが語られました。両社の説明が行われた後、他の輸入者・ディーラーとの違いや日本人投資家についてどう思うか、スタートアップの傾向について、など参加者からの質問に両社の代表にお答えいただきました。

今回は新型コロナウイルスの影響を受け、日本の参加者の皆様も各ご家庭からのご参加となりました。そのため、元大使公邸料理人によるエジプト料理を受講者宅へ事前にお届けし、本場さながらの味をお楽しみいただくという趣向を凝らしました。
会社訪問だけではなく、エジプトの魅力の一つである観光もお楽しみいただくべく、1日目の後半は、お食事をいただきながら、カイロのエジプト博物館およびラクダから眺めるピラミッド巡りをしていただきました。日本語を学んでいたという現地エジプト人ガイド2名による解説付きのツアーで、実際に現地に足を運ぶのとはまた趣の違う観光をしていただけたものと思います。

 

<バーチャルツアー2日目>

 
バーチャルツアー2日目は、在エジプト日本商工会議所の主要メンバーである、在エジプト日本大使館経済班・JETRO・三井物産・伊藤忠商事・MUFG銀行・日産自動車の現地代表の皆さまに、エジプト現地の経済状況、コロナ禍でも経済が成長している状況、コロナ禍での顧客ニーズの変化、現地ならではの経営面での課題、従業員との関わり方、アラブの春以降の現地経済の変化、スタートアップを含む若者の活躍等、他では伺うことのできない現地事情を座談会形式でお伺いさせていただきました。

その後、昨日同様、エジプト人ガイドの方に現地の市場(スーク)に行ってもらい、ライブで市場調査ツアーを行いました。どのような商品がどのように売られているのか、物価はどうなのか、などカイロ庶民の日常を垣間見る機会となりました。
一緒に街を練り歩いた後は、一般的なエジプト人のお宅を訪問しました。どのような家に住み、どのような生活を送っているのかを見せてもらった他、キッチンではエジプトを代表する料理の一つであるモロヘイヤスープを実際に作ってもらうなど、実演もしていただきました。一般的な家庭にどのような家電製品があるのかなどの質問が飛び交いました。現地に足を運んでもエジプト人宅を訪問できるとは限りませんので、今回の試みはとても良い経験だったとご参加いただいた方々にも好評でした。

 

 

二日目後半部は、古くからエジプトで活躍される日産自動車をバーチャル訪問させていただきました。Mr. Mike Whitfield日産エジプト代表よりご挨拶いただいた後、プラント所長のMr. Sherief Eldessoukyより現地の工場で製造している製品などについてが紹介されました。続いて、HRマネージャーのMs. Maisa Galal、コミュニケーション本部長のMr.Ramy Mohareb、海外プロジェクトディレクターのMr. Kenichi Suzukiに現地オペレーションの様子を伺いました。(他の業界に比べ比率が高くないとはいえ)女性の雇用が増えている状況や太陽電池の導入、リサイクルなどの持続可能な取組、MENA地域で2020年度唯一プラスのGDPを出していることなどが紹介されました。市場でのシェアについてや成功の要因などについてなどの質問に答えていただいた後、実際の工場視察もさせていただきました。途中で映像がうまく流れないなどのネットワークトラブルはありましたが、実際の製造ラインなどを見ることができ臨場感あふれる体験ができました。

次に、M&Aの手法で現地進出を果たされている日本たばこのM&A戦略部門とエジプト代表にお話を伺いました。渉外企画室次長のMr. Ryouhei Sugataより JTグループの概要やM&Aによる拡大の歴史などについてご説明いただき、その後JTI Egypt のGeneral ManagerであるMr. Anthony Smithより、2013年のNakhla社を買収には、水たばこ(シーシャなど色々な呼び方がある)という新たな分野への進出という事業戦略が背景にあったことや、現状のオペレーション、成功の要因などについて詳細をご紹介いただきました。JT本社との関係についてや顧客中心の社風にするための取組、適材適所に配属させるためのポイント、エジプトでの戦略の違いなどについての質問が飛び交い活発に議論が交わされました。

バーチャル視察ツアーの最後は、エジプトきっての観光地ハンハリーリです。モスクを見たり、文化の一部である伝統的なコーヒーショップを訪れたりした後、実際にショッピングを楽しんでいただきました。気になった商品をガイドに見せてもらい、売値を聞き、店主と値段交渉をしながら、買い求める体験をしていただきました。購入した商品は後日まとめて早稲田ビジネススクールに郵送され、買主に渡していただくという仕組みになっています。熱心に商品を物色し、値段交渉をされている姿は現場にいるかのようで、とても盛り上がりました。

バーチャル視察という新たな試みとなりましたが、現地の臨場感あふれる生活感や人情まで感じることのできる旅となりました。
早稲田ビジネススクールでは、毎年2-3回、海外視察旅行をされ、東南アジアをはじめ、アメリカのシリコンバレーやシアトル、インド、トルコ、イスラエルなども訪問されてきたようですが、今回のエジプトツアーはバーチャルならではの楽しみ方もあったのではないかと自負しております。日本の将来を担う受講生である企業人の方々に、現地企業や日系企業の経営陣の方々との会話を通じ、異文化理解や国際的な視野を持つことの重要性を感じていただけたのであれば、私共としましてもこれほど嬉しいことはありません。
ZENMONDOでは、今後も橋渡しの役割を担うべく、こういった視察ツアーなどの新たな試みに果敢にチャレンジしていきたいと思います。

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