2019年1月23日(水)にZENMONDO主催の初の対談ディスカッション「ZENMONDO-Talks1-アフリカから始めるイノベーション:ニッポンの起業家が創る未来銀行₋対談ディスカッション」を開催しました。
『20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る』の著者であり、アフリカビジネスにおけるチャレンジャーである合田真さんをお招きし、ZENMONDO代表の伊藤(荒井)三奈がお話を伺いました。
もともとアフリカに全然興味はなかった、偶然の積み重ねで今に至る、と語られた合田さん。
著書の中には、「アフリカに人生を懸けても良い」と書かれているぐらいなので、この発言には驚きました。
モザンビークとの「たまたま」の出会いですが、あまりお金の循環が良いお国ではなかったとのことで、その後電子マネー導入に至っては、結果的に一番良い選択となったようです。
まさに「ご縁」だと感じました。
電力がない農村部を支える「電子マネー」
電力がない農村部では、キオスクのようななんでも商店が皆の生活を支えます。
合田さんの会社でも、キオスクで充電するという「電力シェア」のようなビジネスを展開されるに至ります。
店番をする人を雇い、運営することになりますが、その中で必ず問題になったのが、帳簿と現金が合わないという現実だったそうです。
そこで、村の人との信頼関係を傷つけずに解決する方法として考えたのが「電子マネー」だったと言います。
おかげで誤差1%前後にまでなり、店舗を増やすこともできるまでに至ったそうです。
合田さんの次の着眼点は、デポジットの額。
一家族が月にキオスクで使うのは平均5-8000円だそうです。
それなのに、中には40万円分ぐらいのお金をデポジットしている人がいて、10万円超のデポジットは意外と多い現実に気づいたとのこと。
ヒアリングしたところ、電子マネーとして保管した方がはるかに安全だということがわかったというのです。
銀行口座を所有していて当たり前の日本人では思いつかない発想ですが、銀行がないアフリカの農村部では、穴を掘って埋めたお金が白アリの被害にあったり、無くなったり、現金の管理に苦労している現実が明らかになったということです。
電子マネーはまさにこういった現地のニーズに合ったビジネスだったと言えます。
現地の人々にも貢献できており、うらやましいぐらいの成功事例です。
電子マネーのシステムは日本のSuicaなどと変わらないとのことですが、村に入ってくる収入自体を電子マネーにしたり、農作物の支払いやアルバイト代、補助金を電子マネーでもらうなどするなどのシステム作りが大事だったようです。
「技術は活用されて初めて価値がでるけれど、インフラの場合はそうでもない。場を整えてこそ意味がある」、と合田さんは語ります。
心がワクワクしないことは、やらない
心がワクワクしないことはやってこなかった、と言う合田さん。
興味のなかったアフリカで現地の人のニーズに合ったビジネスをうまく運営されるに至ったこの情熱はどこからくるのかも伺ってみました。
大手企業であっても2-3年ぐらいで撤退していく姿を目の当たりにし、続けること自体にも価値を見出している、と言います。
長くかかわることで、その国のルールや表面も裏面も理解できるのだと。
計画立てて効率よく動くのが日本のやり方ですが、アフリカは分散させてリスク回避する傾向にあるそうです。
未だに疑問に思うこともあると言いながらも、日本人の発想が必ずしも良いかどうかは長く付き合わないとわからない、と語る合田さんの目にはアフリカへの熱い思いがきらめいていました。