2019年8月26、27日の2日間に亘り、アフリカのきれいな街プラットフォーム(ACCP)第2回全体会合が横浜で開催されました。
Day1(8月26日)
あきもと環境副大臣、UN-Habitatアフリカ事務所長、UNEPアフリカ事務所長、横浜副市長による挨拶にはじまり、JICA地球環境部長よりACCPの今までの成果と今後の展望が述べられた後、「廃棄物管理の経験と技術」および「廃棄物管理に関する環境教育・住民啓発」の2つのセッションが行われました。
アフリカでは廃棄物の問題が深刻となっています。
日本には、公害問題も経験し、産業成長と共に廃棄物処理に対応してきた歴史がありますが、今では環境教育も行き届くようにまで発展しています。日本の経験をアフリカに役立てたいという思い、および2030までにSDGsな環境の取り組みができるようにするために、ACCPは2017年に設立され、36ヵ国65の都市が参加しています。ネットワークを構築し、ACCP事務局をアフリカにも設置し、知識共有やスタディツアーの実施、横浜での研修実施などに取り組んできました。
今までに39ヵ国45名が日本での研修に参加しており、研修参加者は実際のアクションプランを考え、自国に持ち帰り、各国の政策に活かしていると言います。また、横浜市では、研修後も職員のアフリカ出張やテレビ会議などを通じ、フォローアップの体制も構築されています。
セッション① 廃棄物管理の経験と技術
環境省 環境再生・資源循環局、横浜市資源循環局の方から、G20の成果や海洋プラスチックの及ぼす環境への悪影響について、循環型社会形成するための法整備、横浜市民への啓もう活動や、横浜研修の内容、プラスチックごみの削減に向けた取り組みについて紹介された後、豊田通商株式会社よりアフリカ進出のすすめとして、アフリカ53ヵ国に165の事業所を持つ同社の取り組みやアフリカのニーズ、日本企業の強みなどが紹介されました。
その後、環境系の技術・商品を既にアフリカで展開しておられる企業(10社程度)より、商品の紹介やアフリカでの取組について紹介されました。
セッション② 廃棄物管理に関する環境教育・住民啓発
ニジェール環境・都市衛生・持続開発省、リベリア モンロビアシティーコーポレーションよりアフリカでの取組と成果と題し、JICAの支援で実施した子どもたちへの3R教育を推進していること、不法投棄には罰金を課すようにしたという政府の政策や廃棄物管理の姿勢、JICA協力隊OB-OG会の協力によりClean-upキャンペーンを実施したことなどが紹介され、横浜での研修が自国でも活かせていることが報告されました。
不法にごみを集めて商売をする人や夜間に不法投棄する人もいるため、取り締まりも重要と多くの課題はありますが、「廃棄物処理管理は一人ひとりの責任である」という速水章一氏の言葉を肝に活動を推進していきたい、という力強い言葉で締めくくられたのが印象的でした。
日本の事例としては、横浜市資源リサイクル事業協同組合より、子供が日常のもったいないをヒントにアイデアを絵日記にする「環境絵日記」の取り組みについて紹介された後、市内3つの中学校から集まった中学生が、環境問題への取り組みについてスピーチをしてくれました。
Myバックを持って行けばゴミが減らせる、シャンプーする間の水を皆が止めればものすごい量の節水になる、といった小さいけれど誰にでもできる取り組みについての若い世代からの熱い呼びかけに大きな拍手が上がっていました。
初日の後半は、UN-Habitat、UNEPによるSDGs達成のための国連の取り組みが紹介され、特にデータの収集や分析の重要性や現在抱えている課題などが説明されました。
その後、アフリカ廃棄物管理環境教育ガイドブックを製作したエックス都市研究所によるガイドブックの説明と環境教育を行う上でのポイントが具体的に示され、実施にアフリカで環境教育等を実施していた元海外青年協力隊員による現地での活動報告も行われました。
Day2(8月27日)
2日目は初日のセッションに続き「SDGs達成に向けた廃棄物データ活用」、「廃棄物管理改善に向けた資金動員」の2つのセッションが行われ、基調講演を経て、今回のACCP横浜行動指針の採択をして、閉会となりました。
セッション③ SDGs達成に向けた廃棄物データ活用
環境省循環型社会推進室、東京23区清掃一部事務組合、フィンランド政府による国レベル・地方(市町村)レベルでのデータ管理についてが事例を通して紹介された後、「発展途上国における廃棄物データの影響」についてのパネルディスカッションが行われました。
ゴミの発生量データを挙げることはできたが、データ源やデータの測定方法が挙げられない(89%)、いつどこでという時系列のデータが出せない(45%)、というアフリカの現状が報告され、信頼性のおけるデータがないことが課題の一つに挙げられ、廃棄物の定義やどのように対応すべきか、データに関して合意ができていることなどの重要性が議論されました。データの収集や分析にはコストがかかるが、良い政策を作るためにも適切な投資をしなければならないことが共通して指摘されました。また、ICTの利用や大学などのアカデミアの活用など、アンテナを張ることで新たな試みもできるのではないかとの提言もなされました。
セッション④ 廃棄物管理改善に向けた資金動員
UNEP、UN-Habitat、世界銀行より、過去の案件で獲得できた資金や方法、診断調査に基づく投資プログラムの開発などが実施されている現状が紹介されました。
その後、アディスアベバでの廃棄物集積所崩落事件後に調査に入った福岡大学の松藤名誉教授、およびUN-Habitatアンドレ・ジクス都市基盤サービス部門長による基調講演が行われ、福岡Methodによる人材育成や収集運搬効率を上げコストを下げることでエチオピア以外にも導入が検討できること、都市の法制度を見直し、コストを回収できるシステムにすることの重要性や廃棄物管理に関して国家都市レベルで関与をすべきであることが述べられました。
最後に、2日間の総まとめとして、ACCPへの参加拡大、援助国・国際機関の拡大、学術機関や民間機関との連携を深めること、アフリカの各機関も自助努力を行うこと、訪日研修や現地研修の実施、スタディツアーによる相互理解、基礎データの計画的な収集、モニタリングの実施・モニタリング方法の開発、収集運搬体制の改善、インフォーマルセクターでのステークホルダーとの連携、廃棄物の投資推進のための官民連携、環境教育ガイドブックを利用した普及活動、パイロットプロジェクトの推進、廃棄物管理に先進的な自治体との連携強化、といった項目がACCP横浜行動指針として発表・採択され、原田環境大臣の「ACCPで学んだことを自国に持ち帰り、知の共有をしてほしい、指針に従いACCPの活動を活性化させたい」というメッセージで締めくくられ、2日間に亘って開催された全体会合は幕を閉じました。
アフリカきれいな街プラットフォーム第2回全体会合に参加した感想
2日間共に活発な議論が交わされ、特にアフリカの代表団からはデータの活用の仕方や資金を得るための具体的なプロセス、コストについてなど具体的な質問が多く出ており、真剣な姿勢がうかがえました。また、子どもたちが環境絵日記を通じ、環境への意識を高めるばかりでなく、国際交流にもつながっていることにも感銘を受けました。
人の意識を変えることはとても大変なことですが、大きな力を持つのも、また人の意識であると思います。草の根的な取り組み、政府による政策的な取り組み、民間企業・国際機関による技術的・制度的なサポート等々、相互に連携する意義はとても大きいと感じます。人口が増えれば増えるほど、廃棄物も増えます。今までの日本の経験や技術を活かせば、もっといろいろな環境の分野で貢献できると思います。
地球にもアフリカにも日本にも嬉しい相乗効果があると確信する場でもありました。
ACCPの歯車が今後もうまく回るように応援したい、まずは自分にできる小さなことから意識を持とう、と私自身も背筋が伸びるような2日間でした。