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TICAD7プレビューアフリカビジネスの新戦略―新たな連携で実現するビジネスモデル―

2019年5月9日、日本経済新聞社・日経BP社主催による「TICAD7プレビューアフリカビジネスの新戦略―新たな連携で実現するビジネスモデル―」が開催されました。

午後開催されたインフラセッションのパネルディスカッションでは、ZENMONDOの代表、伊藤(荒井)三奈がモデレーターとして登壇しました。

 

基調講演:「脱自前主義」の重要性

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セッション前の世耕大臣基調講演では、今まで遠い国と認識されていたアフリカが100年に一度の大革命によりビジネスの対象として浮上してきたこと、人口増加と膨大なインフラ需要があり、日本が大いに関われるチャンスがあることが語られました。

一方で、中韓をはじめ他の国の進出・投資額等が急激に伸びている中、日本の出遅れやチャンスを活かしきれていないことを指摘され、第三国との連携等「脱自前主義」の重要性が語られました。

日本政府のサポートとしては、アフリカビジネス協議会を発足し、継続的なサポートを実施していく他、民間企業だけでは追いきれないリスクを軽減する100%カバーの貿易保険、スタートアップの育成とマッチングへの関与(JETROがアフリカスタートアップ連携Deskを東京に設ける他、海外拠点も設けて支援)、第三国を活用した人材育成を挙げられ、TICAD7の成功、日本とアフリカの連携・可能性について熱い思いが語られました。

 

パネルディスカッション:アフリカのビジネスについて議論する

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パネルディスカッションでは、イスラム投資・輸出保険機関 CEOのOussama Abdel Rahman Kaissi氏、清水建設 常務執行役員 国際支店長の北 直紀氏、三井住友銀行 執行役員 ストラクチャードファイナンス営業部長 三宅 仁司氏のお三方をお迎えし、アフリカビジネスに関するあれこれを伺いました。

 

清水建設の北さまは、「自分たちがやった仕事により、現地の人が喜んでくれることが喜びの一つ。今までは無償工事が主流だったが、アフリカが成長し始め、有償に変わりつつある。援助は必要ないので投資をしてほしい、と言う現地政府の声も多く、50年の間で大きな変化を感じる」と、長年関わって来られているアフリカの状況の変化とやりがいを語られました。

また、質の高いインフラとは「現地スタッフの教育・技術移転、施工後のメンテナンス(長期使用できるものの構築)」と、日本企業ならではの見解を語られました。

 

三井住友銀行の三宅さまは、電力ビジネスにおける各種リスクを軽減・分散させる取組を紹介され、「JBIC、NEXIとの協業や長期融資での利益を上げられる仕組み作り、プロジェクトの小型化にもどう貢献するかも今後の課題。大臣の言葉にあった新しい世界へのビジネスモデルが必要」と語られました。

 

イスラム投資・輸出保険機関(ICIEC)のオサーマさんは、Aa3に格付けされているICIECの構成やアフリカでのプロジェクトの他、日本の企業の貿易や投資へのICIECの対応などを紹介し、アフリカへの応用の可能性についても言及されました。

 

各々のご見解をお伺いした後、ZENMONDO代表の伊藤(荒井)三奈がアフリカの現状、日本企業の可能性などを深堀しました。

加重量の車を走らせたりするため、アフリカの道路は日本よりも傷みが早いといいます。マニュアルによる対応年数に拠らず、そういった現状を踏まえアフリカの国々が求めている質を提供すべきであり、そのためには現地企業とのパートナーシップが重要だという見解が語られました。これは、インフラに限らず、ファイナンスにも同様のことが言えます。

 

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サウジアラビアのジェッダに本拠地を置くICIEC代表のオサーマさんには、中東から見る日本の強み・差別化できる部分として、科学やイノベーションなど日本が優位に立っている分野を活かして戦うべきだと指摘されました。また、アフリカでのビジネスにはパートナーシップがカギであることにも言及されました。

 

日本の強みや特徴として、北さんは、「地元のコントラクターには少し難しいと思うような部分に進出し、技術移転をすることに力を入れている。日本企業は日本人作業員を連れて行くわけではなく、現地の材料を使い現地の人との作業を行うというスタイルを取るため、現地の方が経験を積む機会になっている。また、学生や政府の人を対象とした研修を通じて学んでもらい、将来の自国の発展に活かしてもらうことにつながる」と説明されました。

 

 

自国の作業員を派遣して工事を請け負う国もある中、日本企業のスタイルは現地貢献型・持続型と言えるのではないかと感じました。

世耕大臣が言及されたほぼ100%カバーの貿易保険について、三宅さんは、「通常は輸出額の85%ぐらいを保険でカバーし、残りの15%が現地の国が負担という制度が多い。頭金も長期ファイナンスでなんとかならないかという声が多く、輸出促進につながると思う」と本制度を評価されました。進出の後押しになることを祈ります。

 

中庸である日本の立ち位置を活かした取り組みに期待

納期の厳守や丁寧な仕事というだけではなく、作業の仕方や人材育成のプロセスも質の高さとして、現地から求められ、評価されているのではないでしょうか。

打倒中国ではなく、中国との連携も視野にいれた第三国連携も検討すべき段階にあると再認識しました。中庸である日本の立ち位置を活かした取り組みやアプローチが期待されます。

日本企業に自信を与えてくれるような、そんなセッションとなり、来場者も熱心に耳を傾けておられました。