DEIK(トルコ経団連)主催・Baker & McKenzie共催のセミナー「Doing Business in Japan: Understanding Legal Environment」が2021年6月18日に開催され、ZENMONDO代表の伊藤(荒井)三奈がスピーカーとして参加させていただきました。同セミナーの概要とセミナー動画をお届けします。
「パートナーシップ」というキーワードが繰り返され、日本人・トルコ人、どちらのスピーカーも、文化的にも価値観から言っても共通点が多く、一緒に仕事がしやすい点を強調していたのが印象的でした。
一緒に仕事がしやすい理由の一つには、歴史的な関わりがあります。1890年(明治23年)、オスマン帝国(一部は現在のトルコ)は、トルコ初の親善使節として、軍艦「エルトゥールル号」を派遣し、明治天皇との謁見を果たしましたが、和歌山県串本町沖で遭難。村民たちが総出で救助・看護活動にあたりました。犠牲者500名を出したものの、懸命な救助活動により69名が救助され、神戸で治療を受けた後、日本の軍艦でオスマン帝国に送り届けられたのです。
また、1985年3月、イラクのフセイン大統領は、イラン・イラク戦争停戦合意を破棄し、イラン上空を飛行する全航空機に対して48時間後に無差別攻撃を開始すると発表し、各国が救援機を飛ばして自国民を脱出させるという事態がありました。日本からイランへの定期便はなく、200名以上の日本人がテヘランに取り残されましたが、トルコのオザル大統領(当時)が日本人を救出すべく、救援機を派遣してくれました。
こういった2国間の友好関係は130年経った今も人々の関係やビジネスに好影響を与えているといいます。特に、2013年の安倍首相のトルコ訪問時の「日本国とトルコ共和国の戦略的パートナーシップ」締結以来、2国間の絆・パートナーシップは更に深まったと言われています。
トルコ企業向けに開催された本セミナーでは、日本経済の変遷について触れた後、注目したいエリアとして、①M&A、②再生可能エネルギー、③デジタルトランスフォーメーション、が紹介されました。
M&Aでは、いかに日本の事業会社のポートフォリオマネジメントの考え方が変わってきたかが説明された他、外国企業にとってのインセンティブについても紹介されました。
再生可能エネルギーの分野では、通常ある複雑な規制の手続きをいかに簡素化できるのかや、最近の同エリアの法改正について情報共有されました。
デジタルトランスフォーメーションの分野では、5Gを含むスマートテクノロジー、人工知能、リモートワーク含む職場環境の近代化、雇用モデルの変化、さらにはスマートシティや自動運転など、多岐にわたる情報共有が行われました。また、日本にもデジタル庁が創設され、大きな変革が期待されることなどをテーマに、トルコ人・日本人パートナーによる活発なディスカッションが繰り広げられました。
歴史的にも絆の深い両国の関係。友好関係だけではなく、今後は経済的なパートナーとしても深まることを実感した実りあるセミナーとなりました。今後もこういった情報共有の場を設けていきたいと思います。
動画はこちらから:
https://www.youtube.com/watch?v=OhZ6npiLihQ
※前半一部トルコ語、その後英語